もっと!NSR250R

燃えるPGMV?! RCバルブ全開調整のワナ

  今までエンジン不調の修理依頼で持ち込まれたNSRに、ある症状が見られた。
  その症状というのが、サーボモーターとPGMVなど電気系の故障により、
  RCバルブが動かなくなるというものである。
  この種の故障はフォグランプ等の電装品を取り付ける際の配線のつなぎミスなどによる
  ショートで起きることが多い。
  しかし、M'sに持ち込まれた車輌に電装系フルノーマル状態で、
  この種の故障が起きているものが何台かあった。

  調査をしたところ、それらの車輌の意外な共通点に行き当たった。

突然、煙が・・・

焼けて穴が開いたPGMV
中心部が溶け落ちている。


修理を開始したところ、ハーネス断線ショートによるレギュレーターとサーボモーターの故障と判明し、新品と取替えて修理を完了した。

エンジンをかけたところ、サーボモーターだけが動かない。
「PGMも故障か?」とテスト用PGMVに交換しエンジンをかけ、2,000rpmでのチェック動を確認し、試乗を行ない戻ってきたところRCバルブが動かなくなっていた。
点検してみると正常だったはずのPGMVが壊れてしまっている。念のためまた別のテスト用PGMVと交換をし2,000rpmの動作確認をし、空ぶかしでRCバルブのチェックを行なっていると突然PGMから煙が・・・!
原因は意外なところにあった・・・

もう一度、電装系に限らず車輌全体を点検し始めた。
ハーネスを端から端まで辿って点検する。
そして、サーボモーターの直接点検に入ったとき、サーボモーターから突然煙が!
サーボモータの故障はなぜ起きたのか。
これを探らないとサーボモーターを新しい物と交換してもまたすぐに壊れてしまいかねない。
何かサーボモータに負担をかけていないか、また車輌を全点検する。その時、
RCバルブの全開調整を見つけたのである。

全開調整で何故?

RCバルブを全開調整にする際、ワイヤーを調整位置以上に引っ張り、
すでにRCバルブは全開なのにワイヤー調整が悪いためにPGM側がそれを認識できずに
サーボモーターを規定位置まで何とか動かそうとする。
その際、PGMからサーボモーターに流れる電圧を高めてしまうために、
PGMのコンデンサーが焼ききれてしまい、それによってPGMが故障してしまうのではないかと思われる。シャットオフ回路はついているはずだが、限界を超える要因があった場合どのように作用するかは、PGMの中がブラックボックスであるため完全には分からない。

なぜレーサーでは起こらない?

しかし、それだけが原因なのであろうか?
M'sではレースオンリーで使用しているお客様の車輌でこの現象は未だ聞かない。
ストリート車輌と何がちがうのだろうか。
もちろんレース車輌はワイヤー調整をきちんと計算して行なっているのもあるが、サーボモーターの動きを妨げる要因になる物、それはRCバルブポットに溜まったカーボンである。
レース車輌の場合、メンテナンスを頻繁に行なうため、RCバルブポートのカーボン溜まりが新車と同じくほとんど無い。
ストリート車輌ではノーマル位置に調整されたRCバルブで長時間乗っていて、まずその状態でカーボンが溜まり、そのカーボンが溜まった状態で無理なワイヤー調整をしてしまうため、
RCバルブが動けない限界以上に引っ張ってしまうことになるようである。そのことがPGM、サーボモーターを故障させる大きな要因となっていると思われる。
つまり、RCバルブの全開調整とカーボン溜まり、両方が揃った場合が最も危険である。
全開調整をする前にカーボンを全て除去し完全な調整を行ない、常にカーボンが溜まらないようにメンテナンスする覚悟がなければ、全開調整はとてもすすめられない。

必ず起こるわけではないが・・・

ここに掲載した内容は故障した状態から推測したものであり一つの要因だけで故障が発生しているとは言い切れないのだが実際に検証できたのはここまでである。
これ以上はPGMVを何個も準備して行なわなければならずとても実証することは難しい。
しかし、PGM故障にかかわっていると充分推測できるので掲載した。
参考にしてみてほしい。